一流エンジニアになるための Off-JT #3. ワーキングメモ
ワーキングメモ:はじめに
みなさんは、人間の“長期記憶”(Long-Term Memory / LTM)のことをご存知でしょうか?
- 恒久的な記憶
- 記憶容量は大きい
- インプットとアウトプットは低速
- HW で例えれば、HDD(ハードディスクドライブ)のようなもの
- SW で例えれば、RDB のようなデータリソースのようなもの
- 大脳皮質
- 忘却されない(諸説あり)
- etc...
では、“短期記憶”(Short-Term Memory / STM)はいかがでしょうか?
- 一時的に記憶しておく短期的な記憶
- 記憶容量は小さい
- インプットとアウトプットは高速
- HW で例えれば、RAM(メモリー)
- SW で例えれば、キャッシュのようなデータリソース
- 大脳前頭野
- 忘却される
- 作業記憶やワーキングメモリとも呼ばれる
- etc...
このように、同じ記憶でも、性質と役割が違うということが分かります。
“一流エンジニアになるための Off-JT #1. テクニカルメモ” で“テクニカルメモ”について解説しましたが、これは“長期記憶”の補助ツールという考え方でした。
このポストでは、“短期記憶”の補助ツールとして、“ワーキングメモ”について解説します。
ワーキングメモとは?
“長期記憶”を“テクニカルメモ”というツールで一部補助ができるように、“短期記憶”の補助ツールとして、私は“ワークングメモ”を使っています。
場面としては、例えば作業のために、計算結果を一時的に記録しておきたいとか、メールアドレスを一時的に記録しておきたいなどの用途に有用です。
よく、手にメモをとる方がいますが、これも用途が同じならここでいう“ワーキングメモ”と同義でしょう。
昨日の記録や、半日前、3 時間前、1 時間前などの記録で、必要ないものはどんどん消し去ることができる、一時的な記憶を記録しておくためのものです。
みなさんも、業務中などで似たようなことをされているのではないでしょうか。
また、似たようなことをしてる“一流エンジニア”さんを私は何人か知っています。
フォーマット、スタイル、内容についてはそれぞれでしょう。
ワーキングメモの目的
“ワーキングメモ”の目的は、“すぐ書き込む”、“すぐ引き出す”、“すぐ忘れる”ための“短期記憶”を、ツールによって一部補助することです。
これにより、情報の“インプット”と“アウトプット”の最大化をはかり、自身の“生産性”を高めること。
そして、重要なポイントは、“長期記憶”と混同させないという事です。
言い換えれば私の場合は、業務の生産性向上はもちろんですが、“テクニカルメモ”の効果を減じないために、“ワーキングメモ”を分離しているという側面もあります。
このように、私は“ワーキングメモ”を、“テクニカルノート”とは別に常備し、記憶の性質によって補助ツールを使い分けています。
ワーキングメモの使い方
では、“ワーキングメモ”はどのように使えばいいでしょうか?
下記では、一例をあげてご紹介します。
ワーキングメモの要件例
- クロスプラットフォームで操作可能なこと。
- マルチデバイスで操作可能なこと。
- オンライン・オフライン環境で操作可能なこと。
- ソフトウェアに多くを依存しないこと。
(開発やサポート終了の影響を受けないようにするため) - etc...
ワーキングメモのポイント例
- 短期記憶の補助なので一時的なメモ扱いに限定する。
- すぐに書き込み、引き出せるように常に開いておく。
- 検索する時間を省くためできるだけ一箇所に集約する。
- 自分が見てちゃんとわかるものにする。
- 他人が見る用に清書しない。
- フォーマットにあまりこだわりすぎない。
- etc...
ワーキングメモのツール例
- 普通のテキストファイルエディタ
(アウトライン機能があれば尚可) - Markdown 可能なエディタ
- Google Drive
- OneDrive
- Dropbox
- BoostNote
- GistBox
- etc...
人間の“短期記憶”の性質がそうであるように、“ワーキングメモ”もインプットとアウトプットの“スピード”が非常に大切です。
そのため、私は常に“ワーキングメモ”ファイルを常時開きっぱなしにしたり、テーマを検索する手間を省くために 1 ファイルに集約してます。
その中で、“長期記憶化”が必要なものは、“テクニカルメモ”に転載します。
これらは、あくまで一例ですので、ご自身にあった用法をオススメします。
ワーキングメモ:まとめ
このポストでは、“一流エンジニアになるための Off-JT” シリーズのテーマとして、“ワーキングメモ”について解説しました。
業務の効率化や、“長期記憶”との分離、検索の手間を省くなど、“ワーキングメモ”を適切に活用することで、自身の“生産性“が向上され、“一流エンジニア”への道に繋がっていきます。
このスキルは、“ワーキングメモ”の目的からズレずに継続していくことで、“一流エンジニア”になるための“強力で有用な武器”になりえます。
このポストが、みなさんの“一流エンジニア”になるための一助になれば幸いです。
“一流エンジニアになるための Off-JT” シリーズ次回のテーマは “#4. フッキングメモ” の予定です。